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漁村の左義長
漁村の左義長は現在も古くからのしきたりを守っている地方が多い。湖北の魚瀬町の浦では昔通りに、一月十五日に行われる。
魚瀬町は、松江市の日本海岸にある漁港で、戸数は百三十戸ある。昔から漁獲をするについては、大変縁起をかつぎ神仏の加護信じて生活をしていたので、祭りをはじめ昔ながらの行事が残っている。その中で、正月の左義長とんどは、前年度からの行事も含んで行われる。
魚瀬町は東組・西組とに別れ、更にそれぞれ、三戸から四戸一組づつのとんど宿(行事の世話人)があり、本宿を中心に、一年間無病息災(家内に不幸があれば宿から外し三年間休む)の家が担当する。そして、とんど行事は次の順序で行われる。
| 六月一日 |
歳徳神の額を担いで八神神社に参拝し組中で御神酒をかわす。 |
| 八月一日 |
同じ行事が行われる。 |
| 一月三日 |
とんど行事の準備の一部として、神木(笹のついた孟宗竹)を伐採する作業をする。 |
| 七日 |
とんどの準備の一部として「たんざく」「つゞみ」「鯛づくり」「扇」づくりをする。 |
| 十四日 |
朝から七日に作った「たんざく」等を神木に飾り付ける。 |
| 十五日 |
午前二時未明から鼕をたたき、神の降下を祈り左義長の行われることを地区中に知らせる。 |
大扇面・長短冊などで飾りたてた神木は、組中全員で海岸に間隔をおいて二本たて、それが終わると全員そろって御神酒をいただく。
本宿には、宮庫から歳徳神の宮を出して祀られる。神木のぐるりには、注連縄が堆高く積み上げられ、夜明けと共に、二本同時に火がかけられる。やがて恵方へ神木が倒されると鉢巻きをした若者たちが歳徳神の宮を担ぎ、神木のぐるりを三回廻って地区内を練り歩く。
頭分の家等では御神酒が出る。宿の人が、歳徳神の額を新築された家や、本宿、新婚の家に入れると、“がく入り”といって、縁起を祝う。
宮を担いだ若連中は、「若松さま」を唄って、家々の繁栄を祝う。海岸では、漁船の上に宮を乗せ豊漁を祈る。その間に鼕も盛んに打ち鳴らすのである。(一部清水灌三郎氏記録引用)
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